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2017年1月14日(土)山形県の東根市公益文化施設『まなびあテラス』にて、荒俣宏先生の講演会『本にまつわる物語』が開催されました
東根市公益文化施設『まなびあテラス』
講演会の看板と荒俣宏先生
2017年1月14日(土)13時半より、山形県の東根市公益文化施設『まなびあテラス』にて、荒俣宏先生の講演会『本にまつわる物語』が開催されました。
昨年11月にオープンした『まなびあテラス』の開館を記念して開催された荒俣宏先生の講演会でしたが、開催当日は東日本全体に寒波が到来し、あいにくこの冬一番の寒さと積雪となりました。しかし現地では、膝まで埋まる積雪をものともせず、定員200名のホールがほぼ満席となる熱気の中、無事講演会が開催されました。
来館者のために図書館スタッフが一生懸命雪かき
雪に埋もれた読書テラス
講演会ではまず、まなびあテラスの上野館長が講演会開会のあいさつをしたのち、東根市教育委員会の古谷教育次長より『まなびあテラス』開館からの実績について語られました。人口約48,000人の東根市で、『まなびあテラス』は開館してからおよそ2カ月で72,000人の方が来館されたそうです。来館者数は平均一日に1,200名、一日に1,300冊が借りられていくとのこと。まなびあテラスの近隣に中高一貫校もでき、中高生の利用も大変多いと語られました。
まなびあテラス 上野館長
東根市教育委員会 古谷教育次長
荒俣先生はまずご自身の幼少時代について、5歳のころから本が好きだったこと、中高生の頃は本を買うお金を捻出するために、交通費を浮かそうとひたすら歩き、昼食代も本に回すためにお昼を抜いて図書館にこもっていたと話されました。その結果、「面白そうな本はあちらから目に飛び込んでくる」状態となったそうです。
そして荒俣先生は、まなびあテラスのコンセプト「自由になるための場所」について、大変素晴らしいとお褒めくださいました。「人間が自由にできる唯一の友達は『本』である」と語られたのち、図書館で誰に憚ることなく自由に本を選べる、自由に本を読むことができる、現在の「自由さ」をかみしめてほしいと語られました。
市民ギャラリーは講演会参加者でほぼ満員
優しく楽しい語り口の荒俣先生
また、今回は山形での講演会ということで、荒俣先生から『昭和文学全集』と山形に関連したあるエピソードをお話いただきました。戦後最大のベストセラー、『昭和文学全集』が角川書店から刊行された際、山形県の農家の主婦から、「どうしても全集を読みたい、農家の主婦でも新しい文学を読んではいけない理由はない」と、全集の入手を希望する熱烈な手紙が送られてきたのだそうです。ただ、農家では自由になる現金があまりなかったようで、「お米を送りますから、1巻でも2巻でもいいので本を送ってください」と綴られていたとのことでした。これほど熱心に全集が待ち望まれているのだと、出版社の方々にも大いに励みになったことでしょう。
引き続いて荒俣先生は、白川静『字通』や、江戸時代の「黄表紙」などのエピソードについて語られました。荒俣先生の「荒」という字が何を表わしているか、「善玉菌」「悪玉菌」の起源、好色一代男が源氏物語のパロディだったことなど、知の巨人から語られる知的で面白いエピソードの数々に、参加者の方々から笑い声があがっていました。
「荒」の字源にアラ、びっくり!
戦時中の図書疎開を語る荒俣先生
最後に荒俣先生は、近代史を紐解きながら、本は歴史の中で常に危険にさらされてきたことを語られました。ヒトラーの焚書、有害コミック撲滅運動、戦争で灰燼に帰した図書館…。本は意識して守らなければ、あっという間になくなってしまう、『図書館戦争』や『華氏451』の世界が現実のものとならないために、『まなびあテラス』のような自由な場所であらゆる本を心のままに読める現代の素晴らしさを改めて心に留めて、本の敵から本を守っていってほしいと話されました。
講演会の後は、荒俣宏先生の著書を購入した方々へのサイン会が行われました。50冊ほど用意された本はすべて完売となり、購入者の方々はサイン会へ長い行列をつくって並びました。荒俣先生はどの方とも熱心にお話をされ、握手や写真撮影などに丁寧に応じてくださり、参加された方々はみなとても嬉しげに、満足そうにされていたのが大変印象的でした。
ホールの外までサインを求める行列
一人一人丁寧にサインする荒俣先生
この冬一番の大寒波と積雪の中、山形県東根市までお越しいただいた荒俣宏先生、寒さをものともせず『まなびあテラス』にご来館いただいた東根市の皆様に改めて感謝いたします。
これからも『まなびあテラス』をよろしくお願いいたします。
図書館内を熱心にご覧になる荒俣先生
自動貸出機のご説明
講演会関係者集合、お疲れさまでした
まなびあテラスについて
東根市公益文化施設『まなびあテラス』は、昨年の11月3日(木)にオープンした複合施設です。山形新幹線が停車するさくらんぼ東根駅から徒歩10分、東根市の中心部に誕生しました。市民や地域を支える情報拠点としての図書館、市民利用のギャラリーを基本とした芸術文化の活動拠点としての美術館、活力ある団体活動の情報拠点としての市民活動支援センター、隣接する都市公園と4つの機能が融合しており、「自由になるための場所」をコンセプトに、人々が集い・学び・交流する、新しいタイプの生涯学習拠点となっています。
図書館・一般図書コーナー
図書館・児童エリア
特別展示室
石井コレクション『美と出会う』開催中(~01/29まで)
『まなびあテラス』内、図書館に隣接しているブーランジェリーカフェは地元でも評判のお店で、焼きたてパンやサンドウィッチ、コーヒーをはじめ、イタリアンのランチとディナー、夜にはアルコールも提供されます。図書館内でコーヒーなどの飲み物を楽しむこともでき、図書館館内専用の販売カウンターも用意されています。
ブーランジェリーカフェ「オイッティ・マルシャン」入口
図書館用窓口 ここから飲み物が購入できる
山形県東根市公益文化施設「まなびあテラス」 施設概要
住所 | 山形県東根市中央南1丁目7-3 |
---|---|
面積 |
敷地面積 22,492㎡(都市公園含む) 建築面積 4,381㎡ 延床面積 4,401㎡ 図書館部分 1,886㎡ 美術館部分 1,541㎡ |
蔵書冊数 | 最大20万冊収蔵可能 |
開館時間 |
図書館
9:00~20:00(平日)/9:00~19:00(日祝)
美術館
特別展示室・市民ギャラリー 9:00~18:00 アトリエ 9:00~21:30
市民活動支援センター
9:00~21:30
ブーランジェリーカフェ「オイッティ・マルシャン」
9:00~21:30(L.O. 21:00)
メディア&アートショップ
9:00~21:30 |
休館日 | 毎月第2及び第4月曜日(ただし月曜が祝日の場合は開館し、翌平日休館) 年末年始(12月29日から1月3日) 特別整理日(図書館) 展示替期間(美術館) |
発注方法 | PFI |
建築主 | (SPC)株式会社メディアゲートひがしね |
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- まなびあテラス 公式サイト、Facebook
掲載:2017.01.24