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「ビッグイシュー日本の佐野未来さんと考えよう!図書館にできること」
@日比谷図書文化館

■ 講座名 : 新しい図書館学第3回 ビッグイシュー日本の佐野未来さんと考えよう!図書館にできること
■ 日時 : 2012年9月23日(日) 13:30から16:00
■ 会場 : 日比谷図書文化館 4階 スタジオプラス
今回のテーマは、図書館のホームレス問題。
迷惑利用への対策でなく、住まいや仕事を失い情報を最も必要とする情報弱者の彼らに、市民の自立を支援する情報機関として、図書館は何が出来るかを考えようという企画でした。
当日はあいにくの悪天候でしたが大勢の方にご参加いただき、終了後にはテーマに対して予想以上に大きな支持・賛同をいただきました。
前半の講義では、ホームレス状態の人に仕事を作りだし、自立を応援する雑誌「ビッグイシュー」の成り立ちや仕組み、日本や世界のホームレスの状況、特にリーマンショック後の若い世代のホームレス増加の背景や実態、なぜそうなってしまうか、一度すべてを失うと元に戻ることが非常に困難で、路上に出る前の対策が必要であること、自らの力で稼ぐ力を持つことがどれだけ大切か、などを学びました。
また今回は、「ビッグイシュー日本」のご協力で、ホームレス状態にある人々に図書館利用のアンケートを実施し、その結果を講義や討議で共有するという試みも取り入れました。必ずしもみんなが図書館を利用しているわけでなく、利用しない理由は万人共通と納得。ホームレス状態の人が情報をどう得ているか、どんな情報が必要か、海外の図書館の事例もお話しいただきました。
後半はグループ討議。図書館でホームレスを救うには何ができるのか、グループに分かれて意見交換。講師も取り上げたサンフランシスコ市の図書館でホームレス問題を調査してきたという大学教授の参加もあり、興味深いお話も聞けました。
『ビッグイシュー』を図書館で所蔵することは販売妨害か、ホームレスへの情報支援か、一般市民への啓発か、認定NPO法人ビッグイシュー基金が発行する「路上脱出ガイド(※1)」を図書館に置く場合、どこなら彼らに気付いてもらえるかも考えました。
仕事の場作り、司書とソーシャルワーカーの間に入る存在の必要性、図書館の中で迷惑視されるなら図書館が外に出ていけばいいという青空図書館構想や、他の利用者のクレーム対応も必要な中で日々悩む現場の図書館員の胸の内など、
いろいろな角度から様々な意見やアイデアが飛び交いました。
誰にでも開かれている図書館で、厳しい時代のいまが抱えるテーマを、さまざまな立場から考え、新たな視点を得た熱い2時間半でした。
※1 路上脱出ガイド:「食べるものがないとき」や「仕事を探したいとき」「その他の相談をしたいとき」など、路上に出てしまったときに必要な情報が得られるA5サイズのガイドブック。認定NPO法人ビッグイシュー基金より無料配布。
雑誌『ビッグイシュー日本版』についてはこちら:http://www.bigissue.jp
認定NPO法人ビッグイシュー基金についてはこちら:http://www.bigissue.or.jp
※こちらの報告に使用している写真は、参加者に使用の許可をいただいています。
報告 2012年9年30日
千代田区立日比谷図書文化館
スタッフ 樋口万季