続・片言隻語
第5回 図書館司書の仕事 3.古代アレキサンドリアの図書館からフランス革命の間に司書は何をしたか
地中海文明圏とも言えるギリシャ文化に源を持つ現在の西欧文明圏での図書館、知識の公共圏の元祖とも言うべきものとして、古代アレキサンドリアの図書館が知られている。
紀元前250年ごろから、プトレマイオス王朝期を含み、約500年前後、ギリシャ語の記録物を中心に、約50万巻前後の大コレクションを有したと伝えられるこの図書館は、地中海文化圏での知的公共圏としての具体的なイメージを識者に植え付けたと言える。
この地中海文化圏の知的公共圏のイメージの下に、16世紀の半ば(1545年)にはConrad Gesner(コンラッド・ゲスナー 1516-1565)がギリシャ語、ヘブライ語、ラテン語の世界の文献約1000点を収録した「世界(万有)書誌」を編纂した。これを皮切りにするように、様々な書誌的な活動が展開された。このような書籍公共圏の具現化は、更に知識共有圏へと発展させようとの動きに連なり、百科全書派と呼ばれる人たちの活躍を招来させた。代表はディドロや、ダランベール等であろう。百科事典による知識総体の具現化による市民各層の啓蒙が18世紀後半の市民革命に繋がり、近現代社会の到来を呼ぶことになるとは、歴史教科書の教えるところである。
高山正也
(掲載日:2022年12月15日)