続・片言隻語

第4回 図書館司書の仕事 2.司書は付加価値のあるサービスを提供できているか? 

 現代の図書館が構成されるには、司書の他に、書籍のコレクション、施設や設備、有能な利用者の四つの要素が必要であると図書館学の教科書は教えており、それらの要素の組み合わせの結果、図書館サービスが提供されると言われるが、そのサービスがどれだけ産出されるかのアウトプットとして、しばしば、図書館からの本の貸出冊数や、図書館利用者の数などが指標に用いられる。しかし図書館の評価はこれらサービスの単純なアウトプットの多寡だけで計測するのではなく、アウトカム(outcome)を見るべきだと言われる。すなわち、図書館がどれだけ有効なサービスを提供したかを見るべきだと言うことである。表現を変えれば、図書館や司書がどれだけ、付加価値のあるサービスを利用者に提供できたかと言うことでもある。米国での調査の結果では、司書の提供してくれる情報の信頼度はジャーナリストや政府機関のそれを大きく上回り、医療専門家とほぼ同じ水準であり、公的機関の中で図書館は地元の警察や公立学校よりもはるかに高い信頼度の情報を提供しているとの評価を勝ち得ている。だからこそ、税金を投入して公共図書館に本を購入して、それを無料で閲覧・貸出に供することに値するし、納税者も公共図書館への公的資金の投入を認めているのである。図書館がこのように社会から高く評価・信頼されるには利用者の伴走者となりうる優れた司書の働きが前提である。では、優れた司書の働きとはどのようものなのか。

高山正也 

(掲載日:2022年12月8日)

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